高名 秀人光(たかな ひでみつ)
1956年石川県輪島市に生まれる
1981年石川県輪島漆芸技術研究所卒業
1982年石川県現代美術展に『窟』で初入選
その後多くの展示会に作品を発表すると共に
日展や工芸美術展等 数々の栄えある賞を受賞
多数の美術館に芸術作品を収めている
光陰矢の如し、昭和31年輪島に生を受けて、16歳の年に漆芸の世界に導かれて半世紀が過ぎようとしています。住み込みの徒弟制度による6年間の弟子修行を終えた後、石川県輪島漆芸技術研修所にてさらに学ばせていただき、多くの先生方や先輩方に導かれるように毎年春には工芸展(工芸美術・日工会展)秋には日本美術展(日展)へ出品という公募展の世界に踏み入れて43年の歳月が流れてゆきました。これまで創作してまいりました作品を眺めておりますと、その時々に、くねくね曲がり道を歩んでまいりました紆余曲折という言葉が浮かんでまいります。
2020年、世界中を震撼させた新型コロナ感染症ですが、6月に予定していました第30回日工会展は中止となり、これまでの自分をみつめる原点回帰の時間をいただくこととなり、やがて秋の展覧会(改組新第7回日展・国立新美術館)へ向けて全力集中することとなりました。
これまでの作品は輪島の海をベースにして創造してまいりましたその時々の心象風景ですが、テーマは『命漲る海』、金や銀、白金、錫などの鉱物や鮑の貝など自然から生まれた工芸素材を用いて、海底から湧き漲る魚群の生命力を表現した漆芸作品は、漆黒の世界から生まれる母なる海のいのちの神秘、鼓動や躍動を表現してまいりました。赤い嘴で海を突くと海の中に色が生まれたといわれる神秘な魚「サヨリ」の神話を知って以来、すっかりライフワークとなりました。魚影に光りが降り注がれる様を表現した2020年の日展作品は『遮光の海』としました。2021年『光の海 波の音』会員出品、2022年『奏でる』審査員出品は、各地を巡回展しています。
昭和、平成から令和へと時は流れ世の中が一変するようなコロナと向き合う時代を迎えて暮らし方が大きく変わろうとしています。人類の営みが大転換の時代を迎えている現代において、悠久の時を超えて現代にも自生する自然の恵みである漆の力は、逞しさ、力強さ、しなやかさややさしさ、美しさを新たな創造の世界へと誘い、新たな作品として創作表現してまいりたく、大自然への畏敬の念と生きとし生けるすべてのものへ感謝の想いをさらに深めています。
2023年
漆歴
1956年 | 石川県輪島市に生る |
1980年 | 石川県輪島漆芸技術研修所在学中に 第二回日本新工芸展 初入選『波ト鳥』 読売新聞文化欄全国版紹介さる |
1981年 | 石川県輪島漆芸技術研修所卒業 |
1982年 | 第三十八回石川県現代美術展 初入選『窟』 |
1983年 | 第十五回日展 初入選『浜辺の朝』個人蔵 |
1984年 | 第十六回日展『浜の譜』 |
1985年 | 第七回日本新工芸展『海音』全国巡回展基本作品選抜 第十一回明日をひらく日本新工芸展招待出品『海の話』(箱根彫刻の森美術館)以後入選七回 第十七回日展『海響く』入選 |
1986年 | 第一回工芸美術北陸会展『潮』 北日本新聞社賞受賞 第十八回日展『汀』入選 (石川県輪島漆芸美術館) |
1987年 | 第十九回日展『渚のシンフォニー』入選 |
1988年 | 第二十回日展『潮律』入選 |
1989年 | 第二十一回日展『海のセレナーデ』入選 朝日新聞文化欄全国版紹介さる |
1991年 | 第一回日本工匠会(日工会)展会員賞受賞『並ぶ』 市立輪島病院寄贈 第二十三回日展『錦の洋』入選 (ベルギー) |
1992年 | 第二回日本工匠会展 会員出品 |
1993年 | 第二十五回日展『ストライプな海』入選 個人蔵 日展会友推挙 |
1994年 | 第二十六回日展『煌』入選 |
1995年 | 第二十七回日展『潮碧』入選 |
1996年 | 第六回日工会展企画展示特別賞 「四曲屏風・海はストライプ」(石川県輪島漆芸美術館) 第二十八回日展『キャピタル』入選 |
1997年 | 第五十四回石川県現代美術展審査員 第二十九回日展『西方秋』入選 |
1998年 | 東京・西新井大師總持寺『弘法大師・稚児大師尊像』 漆芸額 第三十回日展『奏でる』入選 |
1999年 | 第九回日工会展『涼』日工会大賞受賞 NHK新日曜美術館作品紹介さる 日工会大賞受賞記念展 京都・髙島屋など 各地で個展 第三十一回日展『速』入選 |
2000年 | 京都・東寺『弘法大師尊像』寄進 静岡県富士市・ 寺漆芸御殿丸座卓『法相華文』制作 第三十二回日展『星ふる岬』入選 |
2001年 | 第十一回日工会展『澄』髙島屋社長賞受賞 第三十三回日展『瑠斗生星』入選 |
2002年 | 第五十八回石川県現代美術展委嘱賞『澄むⅡ』受賞 第三十四回日展『みち汐』入選 |
2003年 | 第三十五回日展『洸』入選 |
2004年 | 第十四回日工会展『晨』 個人蔵 第三十六回日展『生々』入選 |
2005年 | 第十五回日工会展『あゆちの風Ⅰ・Ⅱ』評議員出品 第三十七回日展『シンフォーニー海』二曲屏風 (ベルギー) |
2006年 | 第十六回日工会展『降る』 台湾・台北市 第三十八回日展『紺碧』二曲屏風 入選 (ベルギー) |
2007年 | 第三十九回日展楕円形額『宙』入選 |
2008年 | 第四十回日展『珊』入選 |
2009年 | 第四十一回日展『白き潮』入選 |
2010年 | 富山県北日本マンスリーアート個展(北日本新聞本社) 栃木県鹿沼市福田屋百貨店 個展 石川県金沢市 金澤画廊 個展 石川県能美市 迎厳寺『親鸞聖人御影像』制作 第四十二回日展『青礁』二曲屏風 入選 |
2011年 | 金沢市東山 しら井 海の森ギャラリー 個展 第四十三回日展『虹と海と・・・』特選受賞 |
2012年 | 第四十四回日展『潮風の譜』無監査出品 |
2013年 | 6月 雅号を秀人光(ひでみつ)と改名する 第四十五回日展『海は響く』入選 |
2014年 | 改組新第1回日展『潮流』 入選 |
2015年 | 改組新第2回日展『漲る』漆芸額 特選 |
2016年 | 改組新第3回日展『沖はるか』無鑑査出品 |
2017年 | 改組新第4回日展『漲る刻』 入選 |
2018年 | 改組新第5回日展『湧立つ』審査員出品 |
2019年 | 改組新第6回日展『珊華』会員出品 日展会員 工芸美術日工会理事 石川県美術文化協会常任委員 |
2020年 | 『漲りわたる』兵庫県神戸市 湊川神社奉納 |
2020年 | 第7回日展『遮光の海』会員出品 |
2021年 | 『永遠の祈り』三重県伊勢市 伊勢神宮奉納 |
2021年 | 第8回日展『光の海 波の音』会員出品 |
2022年 | 第9回日展『奏でる』審査員出品 |
2023年3月現在 日展入選33回 特選2回 無鑑査2回 審査員2回 会員出品3回